2010年5月16日日曜日
贈り物
能登には田の神祭りなるものがある。
収穫後、紋付き袴で、田に提灯持って迎えに行き、家にお連れし、風呂にいれ背中を流し、御膳で酌をし、お送りする一人芝居か劇団一人みたいな祭りだ。
まだ能登にいた頃、「そんな神はいない。迷信みたいなものだよ」
と言うと母が「そんなことない。こんな話を、聞いたことがある。」と
夜道を歩いていたら、田んぼから声がした。
「今年はずいぶんご馳走でもてなしてくれ、実に愉快だ。お前はどうだった。」と、
すると自分の田んぼから「俺の所は何にもしてくれん。それで頭にきたから、赤子を火に入れてやったわ。」と、恐くなって急いで家に帰ってみると赤ちゃんが囲炉裏に落ちて泣いていたと、話してくれた。
私は母に「そんなのは神じゃない。もてなさないくらいで怒り、子供を酷いことをするのは、悪魔か鬼で。神様ってのは、見返りも求めず、ただ良くして下さる方」と言ったことを思い出した。
半島という所は字のごとく半分島なので古き良きものも残っているが、古き悪しきものも沢山残っている。出ていく人は多いが入ってくる人はほとんどいない。
小学校の時、転校生が来たSoraという名も少しミステリアスだったが理由がこうだった。
彼は少し前、神隠しにあっていなくなっていたらしい。ある日戻ってきて「どこで何をしていた」と聞くと「神様と会っていた」と言う。占い師に見てもらったら。「この子は神の子だから、松の付く学校に転校させなさい」と言われたらしい。ちなみに私は松波小でした。そんな理由で転校が認められるのか分からないがまあ神の子とは思えない行動だった。
結局、田の神も人も土から出てきたもので、土に帰る。
下からわき上がってきたものに何の価値があろうか。
上からそそがれたものはすばらしい。人が尊いのはその命でありその息である。
命は天に憧れる。手を伸ばし上を見上げて今日も過ごしたい。
1:16 愛する兄弟たち。だまされないようにしなさい。
1:17 すべての良い贈り物、また、すべての完全な賜物は上から来るのであって、光を造られた父から下るのです。父には移り変わりや、移り行く影はありません。
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