2011年1月15日土曜日

郷路


4年ほど前の事
NTTからの仕事を手伝ってほしいとの事で
2名でということで息子と冬にアルバイト
さすが大手だけあって朝もあわてず、夕方も4時30分には帰ってきて5時に退社する。
仕事は雪に埋まった電話線を掘り起こすという割と単純なものだが、
積雪が平均4m程にもなるとほとんど八甲田山の世界である。場所により12mの電柱が50cm程しか出ていない。つまり地上11m位にいるのだ。
世界でも豪雪地帯として知られる。飯山斑尾境にある郷路という集落。
住民は84歳の男性一人、電話の回線が切れたら生きているとも死んだとも春までわからない。
朝、防寒着にかんじきを履き最も近いところまで車で移動自販機でホットのお茶を買いポケットに忍ばせ除雪された道にハシゴをかけて雪の壁を登る。
登れば後は雪道をラッセルするのだがおじさんたちは私も含め100m程しかもたない。標高もそれなりに高く、しかも腰近くまでカンジキを履いてもはまるからだ。
結局道のほとんどを若い息子が道を付けていく。後ろにいても息があがってくる寒く感じないのはありがたいが、数キロの道(?)が本当に遠く感じる。
途中で「スノーモービルはどう?」と聞くとこれだけ積雪があり木が多く平らで無い場所は沈んでしまいモービルは無理との事。
ヘリコプターも雪崩や着陸したら最後あがれない。結局最後は人力なのだ。
2時間少々で到着してお茶を飲もうとしたらポケットのお茶は凍っていた。
お爺さんは一人で屋根の雪下ろしをしていた。「最近はちょっと腰の切れがわるくなった。」と言いながら屋根より高くなった雪壁にスコップで雪を飛ばしている。
秋に収穫した野菜を乾燥させてお湯で戻しての自由自足。テレビも無く秋から春まで誰にも会わず暮らす。自動車や除雪機、オール電化などの文明に頼らなければこの環境でも人は生きていける、ただお金と便利さ子供の教育などを求めて他は誰も居なくなってしまった。
彼はここで生まれ育った。その時夏にバイクで同じルートを行ってまたお爺さんに会ってみたいと思いながらまだ行けてない。

本当は携帯を一台渡して無料でも良いので宛がっておいた方が遥かに安上がりなのだが、ちゃんとコストがかかってもやる日本の企業のすばらしさと一人で暮らすお爺さんの生き方に何か尊厳さえ感じた。画像は大変すぎると撮れません、でしたので昨年12月24日の私の家です。
今の私の力量にはこれくらいがちょうどいい。

4 件のコメント:

  1. すごい方がいますね。すごい。

    甘ったれていてはいけないですね。

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  2. そうですね。
    この人に比べたら私などまだ依存してくらしているなと思わされます。

    本当は一人一人このように自立して国の管理でなく生きていけたらいいのですが。

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  3. これはスゴイ。上には上がある、と言うこと。

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  4. そうですね。
    上には上がありますね~。

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