2010年5月7日金曜日

赤土


実家で田植えの手伝いに行ってきた。農家の朝は早い、朝食を終え、田んぼに立って時計を見ると6時10分だった。
まあ、私の父が早すぎるのだが、、、
帰郷して、いつも感じる事は、実家はもう 私の家ではないのだということ。
父は「お前の家」と言うが、私の帰るべき家は今、戸隠の家なのだ。

実に家はいいです。旅行も好きですが、最後の頃になると自分のベッドで寝る事が何より楽しみになってくる。
どんなに高級なホテルに泊まっても、我が家が一番なのだ。

それでも自分の生まれた所は実に味わい深い懐かしさがある。
塩を乗せた風や、強い日差し、夏を感じる草の萌える勢い、そして何より土の香りである。
日に焼かれた赤土から立ち上るにおいには蜘蛛の巣でとる蝉やクワガタをつかまえるために登ったケヤキの木、青緑色の海で魚やタコを捕った思い出と共にある。

戸隠は黒土で木も落葉するので腐葉土も多い。
能登は大体、赤土である。(一部は珪藻土とサンドもある)
アダムの語源になったアダマとは赤土の事で、私の生まれ育った地方の畑を見ていたらいくつか思い当たる所があった。

母などは戸隠の土をみて「くろぼこ」と呼んでうらやましがるが、決して黒土が優れている訳ではない。
ただ赤土の習性で水を含んでいると岩のように硬くなり、雨上がりなどに耕してしまうと、その年は最後までごろごろの扱いにくい土となる。
黒土は固まる事がないのでいつも耕しやすく 踏まれても収穫時簡単に引き抜けるお手軽さはある。
赤土自体は栄養分が無く肥料を与え続け無いと植えたものは良いものになりにくいのに対し黒土は有機物分と肥料分に富んでいます。
と、ここまでなら母の言葉も分かるのですが。まず、新しい命を育てる時、特に挿し木などは赤土でないと栄養価の高い他の土は雑菌も多くうまく育たない。
また赤土は簡単に固まるので珠洲焼きなどにも使えますし、適度に玉にすることで通気性が良くなるメリットも併せ持ちます。
神様が人を造るときたまたま赤土を、で無く、選んでその土から造られたはず。
形にしやすく霊を入れる器にもなること、命を始めるに良いが、その命が成長するには土からでなく誰かが常に命の養分をもらい続ける必要があること。固まりすぎると手に負えなくなるが、サツマイモや葡萄はそんな痩せた土地の方が葉を茂らせることよりまず根を張のばす事で、結果最後には良い味になる事など。赤土ばかりの能登は2重の意味でも私のふるさとなわけです。

2 件のコメント:

  1. Koji君の奥さんと私の田舎は同じなんですけど、赤川と呼ばれている人工川があります。
    ちなみに「穴ぼこ」と言うと、穴が開いている事を云います。

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  2. 私の郷里でも「穴ぼこ」って言いますね。
    意味はくぼみでしょうか。

    「赤川」名前の由来はなんでしょうね。

    ちなみに「赤ちゃんは」アダマと少し関係あるとおもってますが、
    ホームセンターで売っている「アカダマ土」は関係ないかな。

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