2010年3月14日日曜日

井戸

木の穴、石の穴と続いたので穴の話をもう一つ。家には井戸がある。
家を建てるとき気が付いた「水がいるな。」水はどうやって手に入れるんだろうと、水道課に行った。「水がほしいのですが」担当は「あんな場所ですからねー、1m1万円くらいだから最低お宅までは250万円の費用がかかります」とのこと、当時家を建てるお金どころか土地を買う金もない私がそんなお金あるわけない。「じゃいいです」担当は「でも水がないと人の住む住居としてはみとめられませんが、、」「ぼく掘ります。じゃぁ」と帰ろうとすると「これ井戸の条件やきまりがが書いてある書類です。これに従っておねがいします。」帰って読んで見ると、なにやら理解しにくい文章や取り決めが沢山書いてある。「もーめんどくさい」でもその中に全てを貫く一つのポリシーがあった。

{第一条 水は全ての人に等しく与えられている権利であり資源である。}いいじゃん。では私もその一人だな。じゃぁオレは井戸を掘る!ゴローさんの様にスコップでと思ったが、知り合いがいい機械がある仕事にもなりそうだから試し掘りにどうよと。ドラエモンの4次元ポケットみたいに「らくらく井戸掘りキット簡単ビデオ付き!」、送料込みだったのでエアーで送ってもらう、キター。組立ててみるとドラマ不毛地帯でMr兵藤がサルベスタンで掘っていたのと全く同じのミニチュア。

ビデオを見ると「Hi! I`m ○×△、、」とボン.キュ.ボンのお姉さまが大きく胸元が開いたタンクトップと真っ白なショートパンツで、本当に此処でいいんですかと思うような芝生の庭の真ん中にフンフンと鼻歌で掘っていき、25分後にはその井戸から出た水を飲んで一言「Deliciousness .You can do it !See you.」???少々の?疑問を感じながらも開始、ウォー、ドロドロ、ヘロヘロで、何度ものトラブルの連続、その時の服は捨てるしかない状態で手も腕も傷だらけ。ちゃんと爆発もしてくれました(笑)あまりに過酷で写真の一枚も取れなかった。あのビデオは一体?????

勝負は水モノといい方にあるように、わかんないよやってみないと言うこと。2日掘り続けて硬い岩盤にあたった。「もういいい」暗い中ドロンドロンの穴に差し込まれていたパイプを取り出し片づけて文字通り泥のように寝た。次の朝、期待と不安で井戸に向かった。
日本中で記録的な水不足の年、好天が続いていた夏だったが、車で向かうその道には水が流れていた。その道をたどると私の掘った穴からそれは出ていた。
懐中電灯で井戸の中を照らす。わきあがる水に光が何処までも伸びていく、深く暗いその先から怖ろしく澄んだ水がこんこんと涌き続けていた。

昔私のひい爺ちゃんが保証人になり家土地を手放し仕方なく水のない高台に移り住み自分で井戸を掘ったと聞いた。私がその機械で掘ったのと同じ深さだったと聞いたとき手を合わせて拝む事こそしないが、思った。やるじゃん、爺じい、かっけー、。今日もあの穴からは変わることなく澄んだ水が涌き続けている。 サンキュー ! ひい爺ちゃん人生は悪くないよね。神様はちゃんと見てるよね。

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